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2009
05.21

ホンモノの・・・

クッパーケニギン


クッパーケニギン


ワカメちゃんはエレベーターガールになっているみたいですが、
その昔、私も二週間ほど、エレベーターガールでした。

大学に入って最初の夏休み、雑誌かなにかで探したのだろうと思う。
最初の日、指定された時間に行くと、女の子がもう一人いて、
その子と、書類であふれかえったすごく小さな部屋に閉じ込められ、暗記しろ、と。
私の乗るエレベーターは、池袋の、あの展望台へ上がるもの。
バスガイド譲のように、決められた文言を、流暢に、身振り手振りもつけ、言いきらないといけない。
私一人だったら、たぶんその場で、やっぱり、辞めますと言って、帰っていたと思うのだけど、
そういう困った状況に誰かがいてくれるのは、なぜか、私の人生でよくあること。
すぐに仲良くなって、その後も励まし合うようになった。

三時間後、簡単なテストがあって、採用します、と伝えられた。
「えっ?まだ、採用されているわけじゃなかったんだ・・・。」
と、びっくり。

そこのエレベーターは、向い合せに8機ぐらい並んでいて、
閑散期は、社員の「ホンモノ エレベーターガール」の人たちで、1~2機を動かし、
夏休みのような時期、アルバイトをたくさん雇い「にわか エレベーターガール」で、フルに動かしているみたい。
エレベーターに乗り続けるのは、30分。
それから休憩所で、30分か1時間休んで、また「出勤」。
時給は、休憩所にいる時間も。
そのへんのラクさにひかれて、やろうと思ったのだけど、
休憩所にいる時間がいちばん、いやだった。
「ホンモノ エレベーターガール」の人たちが、女王様。
そのへんの、異様なあれこれは、女の人なら、書かなくてもわかるでしょう。

そのうち、だれさんが、だれさんを、こんなくだらないことで泣かせてね、とか、毎日耳に入ってきて、
次は、私かね・・・と思って、そこを辞めた。一緒に閉じ込められた彼女も、同時期に辞めたと思う。

けど、あの短い間に、一度だけ、おもしろいことがあった。
いろいろな人がくるところだけど、夏休みなのになぜか空いていたある日、見るからに、「その世界」の人が来た。しかも、私の乗るエレベーターに。

仕事はエレベーターに乗るほかに、
お客さんを誘導し、数えて乗せ、最後にドアが閉じるとき、おじきをして送りだす役というのもあって、この仕事につくと、エレベーターには乗らない。二つの仕事を、休憩ごと、交互にやっていたように思う・・・なのに、よりによって、なのだ!

こわいという感じは、ご本人からも、お付きの人たちからもしなくて、
どちらかというと、ゆったりとした、余裕のある人の雰囲気。
それゆえに「ものすごくホンモノの・・・」という純度も、私に届く。

この時、送り出す係りの女の子は、どういうわけか、クスクスと笑っていた。
このクスクスは、きっと発券売り場から伝染してきたんだろう、「最後」にいる私は笑えない。
彼女がおじきをして、私とその人たちだけを乗せた、当時、日本で最速のエレベーターのドアは閉じた。

きわめていつものようにと、落ち着いて、決められた通りやったつもり、
ちゃんと聞いてくださっているということも、私にわかった。
言い終わると、この仕事のことをいろいろ聞かれた。
最後に、
「ちゃんと、ごはんをたべなはれ。」
と、私の背中をたたいて、降りて行かれた。

結局、いやになって、アルバイトは短期間でやめたけど、このことだけが、なぜか暖かな感じで、いまでも私に残っている。
ワカメちゃんも、こんなことがあるのかな?

クッパーケニギンとは、「銅色の女王」。

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