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2007
10.21

写るんですおばさん

Category: ひと   Tags:写真e.t.cひと
さざんか


よく晴れた秋の日。さざんかが早くも満開でした。

「撮ってください。」
とカメラを差し出されるのは、よくあることだと思うのですが、昨日の依頼はミョーでした。
私に差し出されたカメラは「写るんです」。
コスモスと一緒に撮ってくださいという50代ぐらいのおばさん。連れの方はなく、ひとり。近所を散歩しているような服装ではなく、会社に行くようなキチンと感じは、とても丁寧な言葉遣いとぴったりしていました。

太陽光線がちょっとキツイので、撮る場所を私が目で探していると、ご自分で順光の位置にさっと立たれて、
「このへんでしょうか?」
写真を撮る人なのかな?
「顔はどうでもいいので、全身をいれてください。」
それが「おや?」と思ったはじまりでした。


一枚撮って、
「ありがとうございます。」
「いえいえ。」
とおしまいになるかな?と思ったら、何枚か撮って欲しいとのこと。
二枚目を撮ろうとすると、ファインダーの像がぼけてますし、シャッターが下りない感じ。フィルムを巻き上げるのを忘れてました。フィルムカメラで撮るのは、日常的に写真を始めてから、初めてのこと。一部のデジカメには一枚一枚巻き上げるタイプもあるようです、ライカだったかな?


「今日は空と入れないと、もったいないですよね。」
その言葉に反応して、私はさらに後ろに下がります。背景に余計なものを入れたくないと思っておられるのかもと、オバサンの斜め後ろにあった「時計」をはずしました。

それから10分ほど撮っていたかとおもいます。枚数は12~13枚ほど。緑の芝生のなかにすわっている写真。すすきと一緒。
このおばさんが写真を撮る人、あるいは完全な「できあがりの絵」が頭の中にあることは明らかなので、シャッターを押すことに専念することにしました。
とはいえ、「写るんです」なので、もう何もいじれません、私のできることといったら、水平垂直をまもることぐらい。

派手な色の車や、鉄橋(私たちがいた場所は河川敷でした)が背景に入るときは、こうなりますが、いいですか?と声をかけました。するとそれは「ダメ」なようで、おばさんは新しい場所を探しだします。
私たちは一枚一枚に、背景の検討をしながら、私は別なところで、このおばさんはいったい・・・?というギモンを強くしていきました。

残り枚数がなくなるまで撮ったので、終わりかと思ったら、申し訳なさそうにカバンから新しい「写るんです」を出して
「もうちょっといいですか?」

顔はどうでもいいから全身を、空を入れる、この二点を何度もおっしゃいます。
私はそれを果たした思うのですが、きっちり靴の底まで入るような全身の撮り方を、すべてに対してしたかは、ちょっとギモン。どうしたって、最後には顔を見てしまいますから。

この場所を取材に来た編集者のようにも思えましたが、それならデジカメ、なにもすべてに自分をいれなくてもと思うのです。
人のことは詮索してもしょうがないですが、写真の用途はとても気になります。「こだわりの写真」を撮るために、声をかけてもらったことを光栄だと思うことにしました。
そして「写るんです」のファインダーから見た秋空がきれいだったことが、網膜にくっきり残っているのでした。
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