2017.07.26.Wed.13:49

宮本輝さんのファンならば、「ドッコ沼」をご存じでしょう。
ファンではありませんが、「錦繍」は何度も読みたくなります。
「前略
蔵王のダリア園から、ドッコ沼へ登るゴンドラ・リフトの中で、まさかあなたと再会するなんて、本当に想像すら出来ないことでした。」
日本語の名文はもう生まれないと思うわたしが、
この文は、日本語の最後の青空とか、きらめきのような文だなと思うのです。
ちょっと間違えると、何かの感想文によろっと落ちてしまいそうですが、
前半の蔵王、ダリア、ドッコ沼、ゴンドラ・・・単語群の効果が、素晴らしすぎます。
この奇跡の言葉は、実際にある(あった)もの。
蔵王のダリア園は、昔はあったそうですが、今はありません。
ドッコの沼は、空が開けて明るく、美人が静かに微笑んでいるようでした。
この名前はふさわしくないですね。
けど、この本に登場するモーツアルトの39番は知りません。
ええ、ピアノを弾く私でも、知らない。
世間が言うほどモーツアルトに癒されない私は、行っても、撮っても、聴かないのです。
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