
平日の昼間、市や町のホールをまるごと、
楽器店などの練習室ぐらいの料金で、貸してくれるという話を聞くのですが、
私の住んでいるあたりでは、そういうものは一切ないようで、憧れの話。
でも、チャンスはやってきました。スタインウェイのフルコン、長いです。
フルコンは最初の発表会以来、15年ぶり。
やっぱり、よーく、響きます。

別の日には、一生その機会はないだろうと思っていた「Fazioli」に触れることができました。
You tubeで、その音を聞くたびに、現実的な音だなぁと。
現実的な音って、ナンなんだよーと、自分にツッコミタクなりますが、よくわかりません。
しばらく考えると、「倍音が少ないということか?」とも思いましたが、
絶対音感など無縁な私は、いったいなにをどう感じて「現実的な音」という言葉になったか、不思議です。
でも、弾いてみて、よくわかりました。
ピアノを弾いている人の耳で聞く音が、すでに澄んでいるのです。
私は弾いたことがないのですが、
ベーゼンドルファーでピアノの発表会をした時のDVDを見せてもらったことがあります。
スタインウェイは響きが先に耳に届き、誰が弾いてもそれなりに格好がつきますが、
ベンゼンドルファーは音の核がすぐにやってきます。
なので、たたいたり、押し付けるように弾くと、べちゃっとつぶれた音や、響かなかったり。
あいまいな指からは、核のないふにゃっとした音。
それはピアノから、きびしく選別されているような感じで、
(勇気をもってはっきり言うと)学習者の発表会で使うのには、苦しい。
これはプロが扱う楽器なんだなぁ・・としみじみ思いました。
スタインウェイは、そこまで弾く人を選ばず、包容力(?)があります。
ファツィオリは、真ん中のドから一オクターブ上以降の高音の伸びが信じられない。
ペダルも、うんと少なくて良くて、
へたくそがペダルを踏みすぎて音が濁ることもなくなり、余計に澄んだ音。
フォルテッシモはわかりませんが、ピアニッシモがらくに。
「あれ?!思っていたより上手かも!」
と、思わせてくれるピアノです。
自分の音を聞きながら、かつ楽しんでピアノを弾くという心地よさを、
一時間で教えてもらったような気がしました。
